現在の日本食に欠かせない調味料「みりん(本みりん)」。いつ、どこで誕生し、どのように使われるようになったのか?今回はみりんの起源や歴史について、ご紹介します。
みりんは飲み物だった!
みりんの起源は、中国伝来説と日本誕生説の2つの説があります。
本みりんの起源は諸説ありますが、戦国時代に中国から「蜜淋(ミイリン)」という甘い酒が伝わったという中国伝来説や古くから日本に存在した「練酒」「白酒」に腐敗防止のため焼酎が加えられて本みりんになったという日本誕生説が代表的な説です。
出典元:流山本みりんのページ|かごや商店
日本では、戦国時代頃から甘いお酒として飲用されるようになりました。文献でも、文禄2年(1593年)の「駒井日記」に「味醂酎(ミリンチュウ)」と登場しています。
さらに、江戸時代になると高級な甘いお酒として親しまれていたみりんは、女性や庶民にも楽しまれるようになりました。
江戸時代のみりんの飲み方を川柳から見ると、高価な高級酒として上層階級で引用されていたみりんが、庶民の暮らしの中にとけこんだ酒になった様子がうかがえる。……甘く口あたりのよいみりんはアルコール度も酒に匹敵し、下戸や女性の楽しみの酒だったようである。
出典元:みりんの知識 p.30(森田日出男 幸書房)
今でこそ「みりん=調味料」というイメージですが、お正月に飲むお屠蘇のように、昔は「飲み物」として愛用されていました。
調味料として使われるようになり、消費が拡大
みりんが今のように調味料として使われるようになったのは江戸時代後期から。鰻のたれやそばつゆに使われていました。そして、明治時代になると、一般家庭でも使われるようになり、食品加工業が発展する大正時代〜昭和時代にかけて、消費量が拡大していきました。
・江戸時代後期(19世紀)になると鰻のたれやそばつゆに使われだし、調味料として活用されるようになりました。
・明治から戦前にかけては、一部一般家庭での使用が始まりますが、まだ贅沢品であり、日本料理店で使用されることが多かったようです。
・昭和30年代には、本みりんの大幅減税の影響もあり一般家庭にも普及し、わが国の代表的な調味料の一つになったのです。出典元:本みりんの知識|全国味淋協会
現在では、ドレッシングやたれ、めんつゆなどの調味料にもみりんが使われているものがあります。「我が家にみりんはない!」と思っていた方も、ぜひご家庭にある調味料の原材料を見てみてください。意外なところで、みりんと出会えるかもしれません。
日本発酵文化協会認定 発酵マイスター。白みりん発祥の地・流山のmachiminと出会い、もっとたくさんの人に発酵食品であるみりんの魅力を広めていきたい!と「本みりん研究所」を立ち上げる。現在育休中の一児の母。